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経済と人間(2)

岩井克人『資本主義を語る』ちくま学芸文庫,1997年 一昨日に引き続き,岩井克人氏の一般向けの書物から。 人間は,いかに自分が経済に縁遠いと考えても,経済と無関係に生きることはできない。しかし,だからといって,すべての人間的世界を,経済をモデル…

貨幣と人間(1)

岩井克人・三浦雅士(聞き手)『資本主義から市民主義へ』新書館,2006年 いままで,経済に関する本は取り上げてこなかった。 苦手な分野で,何を取り上げるべきか思いつかなかったからだけれども,しかし,前回(10月2日)の末尾でもふれたように,この…

感覚を磨く

見田宗介『現代日本の感覚と思想』講談社学術文庫,1995年 本書は,二部にわかれる。 第一部「現代日本の感覚変容─夢の時代と虚構の時代」は,1990年,東京都写真美術館の開館記念となるオープニング展「東京─都市の視線」のためのカタログ解説として書かれ…

世界をつなぐ(2)

ジンメル「橋と扉」,『ジンメル・コレクション』(鈴木直訳)ちくま学芸文庫,1999年 昨日に続いてジンメルを取り上げる。 「橋と扉」は1909年のエセーであるが,「取っ手」(9月18日参照)と同様の観点から,標題となっている物質的なものの両義的意味…

世界をつなぐ(1)

ジンメル「取っ手」,『ジンメル・コレクション』(鈴木直訳)ちくま学芸文庫,1999年 ジンメル(1858-1918)というユダヤ人社会学者は,実に繊細な視線をとおして,豊穣な洞察を残した。 今日紹介する「取っ手」は,百年以上も前になる1905年のエセーである…

苦悶する組織

テレンス・ディール/アラン・ケネディー『シンボリック・マネジャー』(城山三郎訳)岩波同時代ライブラリー,1997年(新潮社,1983年) 哲学的な議論も大切だが,そんなことを言う前に,普段の生きる場である組織が壊れかかっていてどうしようもない,とい…