2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

おとぎの国の倫理学

チェスタトン『正統とは何か─G.K.チェスタトン著作集1』福田恒存・安西徹雄訳,春秋社,1973年(原著,1908年) ここ最近の選書について,神話なんてものをなぜ今さらこんなに取り上げるのかという感想をもたれているかもしれない。 昨日紹介した鶴見俊…

神話的時間

鶴見俊輔『神話的時間』熊本子どもの本の研究会,1995年 一週間前(4月20日)の日記の終わりで,書名だけを挙げた本である。 まえがきによると,本書は「熊本子どもの本の研究会10周年記念事情で行った鶴見俊輔先生の記念講演,谷川俊太郎氏と工藤直子…

時間の比較社会学

真木悠介『時間の比較社会学』岩波現代文庫,2003年(原著,1981年) 少し間があいてしまったが,前回(4月13日)は,生命論の観点から,人間の「思想」が未来志向的な生き方に関わる側面にふれた。 ただし,誤解のないようにつけ加えておくが,そこでは…

生命を捉えなおす

清水博『生命を捉えなおす 生きている状態とは何か』中公新書,初版1978年,増補版1990年 手元にあるのは,2009年1月25日増補版10版。くり返し刷られているということが,この本の意義を物語っていると思う。 奥付によれば,著者の清水博氏は1932年愛知県生…

政治のことば(2)

成沢光『政治のことば 意味の歴史をめぐって』平凡社,1984年 前回(4月6日)に続いて,上の書物から。 著者も記すように,古くから政治の「政」はマツリゴトと訓まれてきた。マツリゴトは「祭事」を連想させる。ひいては,現代においても,政治はマツリゴ…

政治のことば(1)

成沢光『政治のことば 意味の歴史をめぐって』平凡社,1984年 新年度がはじまりました。 今までの日記を振り返ってみると,毎回えらそうなタイトルをつけていたと,少し気恥ずかしい思いがするので,この4月からは紹介する書物や論文の題名(あるいはその中…