2010-01-01から1年間の記事一覧

コミュニティ

ジェラード・デランティ『コミュニティ─グローバル化と社会理論の変容』山之内靖・伊藤茂訳、NTT出版、2006年(原著、2003年) 前回紹介した「地域創成リーダーセミナー」の第2回(セミナーとしては第1回)が、一昨日の土曜日に行われた。今回のセミナーは…

地域再生の罠

久繁哲之介『地域再生の罠』ちくま新書、2010年 昨年から、福岡県筑豊地区で地域創成に携わっている指導者のためのセミナーに関わるようになった(「地域創成リーダーセミナーin福岡」)。 このセミナーは今年で三年目を迎える。本年度は昨日10月2日から…

ヒンドゥー教の人間学

マドレーヌ・ビアルドー『ヒンドゥー教の<人間学>』講談社、2010年(原著旧版1981年、新版1995年) 前期の途中からこのブログを書くことどころか、見ることさえできなくなりました。 毎年毎年、坂を転がり落ちる雪だるまのように仕事が増えていくのを感じ…

アウシュヴィッツ以後の神

ハンス・ヨーナス『アウシュヴィッツ以後の神』品川哲彦訳、法政大学出版局、2009年 イスラエルの神は熱情の神である。イスラエルを愛する民として選んだ神は、イスラエルの民の不忠実に対して責めを与え、預言者を遣わして神への復帰をよびかける。旧約聖書…

永遠のとなり

白石一文『永遠のとなり』文春文庫、2010年 何回か取り上げたことのある白石一文(2009年9月7日、9日)の、2007年に出た十冊目の作品である。 昭和三三年生まれの主人公とその友人の物語。田舎から東京の大学に出て就職し、それなりの仕事をして、さてこれか…

レディ・ジョーカー

高村薫『レディ・ジョーカー』新潮文庫、2010年(毎日新聞社、1997年、の全面改訂版) 連休、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。 私は、一つだけイベントがありましたが、それ以外はどこにも出かけずに、たんたんと過ごしています。 よい休暇をお過ごしにな…

ガリヴァー旅行記を読む

高坂正堯『近代文明への反逆─社会・宗教・政治学の教科書「ガリヴァー旅行記」を読む』PHP研究所、1983年 著者高坂正堯(こうさか・まさたか、1934-1996)は、現実主義の立場から政治についてたびたび発言し、注目を集めた国際政治学者である。京都大学法…

ファンタジーと言葉

アーシュラ・K.ル=グウィン『ファンタジーと言葉』青木由紀子訳、岩波書店、2006年 入学式やオリエンテーションを終えて、いよいよ授業がはじまる時期となりました。 学校というのは、夢によって成り立つ空間だと思います。 個々の夢は社会的な幻想の根か…

哲学的日本を建設すべし

石橋湛山「哲学的日本を建設すべし」(明治四五年六月号『東洋時論』「社論」)、松尾尊兌編『石橋湛山評論集』岩波文庫、1984年 卒業・修了シーズンです。 卒業・修了される皆さんの前途をお祈り申し上げます。 さて、前回(3月22日)の日記の末尾に、「…

センス・オブ・ウォールデン

スタンリー・カベル『センス・オブ・ウォールデン』齋藤直子訳、法政大学出版局、2005年(原著、1972年) ほぼ3ヶ月ぶりです。更新できない日々が続くと、このブログも止めようかとか、あるいはコンセプトを変えようかとか、いろいろと考えないわけではなか…