2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

世界史の牢獄

彌永信美『幻想の東洋 オリエンタリズムの系譜』上下,ちくま学芸文庫,2005年(青土社,新装版,1996年) 前回(2月15日)も取り上げた彌永氏の著者から。ただし,この浩瀚な書物をこの小さな日記でうまく取り扱うのは困難なので,下巻に収められた付論「<…

思想の原罪性

彌永信美『歴史という牢獄 ものたちの空間へ』青土社,1988年 前回(2月8日)少しふれたように,研究室の引っ越し準備のために,何かしら生活が落ち着かず,この日記も放置してしまいました。 少し期間をおいてしまうと,なかなか本の紹介モードになることが…

コミュニティを生きる

広井良典『死生観を問いなおす』ちくま新書,2001年 私のつとめている大学ではキャンパス移転事業が進行中だ。私の属する部局(大学内の教育研究組織)もこの4月から新キャンパスに活動の舞台を移す。そのために現在は,通常の業務に加えて研究室の引越作業…

教育の想像力

神野直彦『教育再生の条件——経済学的考察』岩波書店,2007年 昨日(2月1日)は,「想像力」をやや特殊な方面から問題としてしまったかもしれない,と少し反省している。 ごくごく常識的な言葉の用例に従って「想像力」の重要性を確認しておくならば,哲学…

魂と社会の想像力

ロバーツ・エイヴンス『想像力の深淵へ 西欧思想におけるニルヴァーナ』(森茂起訳)新曜社,2000年 前回(1月27日)の末尾で,「想像力」についてふれた。 それをうけて,やや突飛な展開になるけれども,「想像力」について,ユング派心理学の立場から論じ…