2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

紀州

中上健次『紀州 木の国・根の国物語』角川文庫、改版2009年(1980年) 本書は、朝日ジャーナルに1977年から78年にかけて連載された、中上健次としては異例のルポルタージュ風作品である。 中上健次は1946年和歌山県新宮市生まれ、1992年に46歳で没した。1976…

ひきこもりの国

マイケル・ジーレンジガー『ひきこもりの国 なぜ日本は「失われた世代」を生んだのか』河野純治訳、光文社、2007年(原著、2006年) やや型にはまった日本観、どこかで耳にした日本人論が続く。読んでいて、新しいことを発見するということは、あまりないか…

「待つ」ということ

鷲田清一『「待つ」ということ』角川選書、2006年 この時期、大学の教員はとある書類作りに追われる。毎年というわけではないのだが、そういう順番にあたったときは、なかなかハードだ。 人によっては、そんな仕事には意味がない、といい、どうせ読んでは捨…

偶像について(2)

和辻哲郎「偶像崇拝の心理」、「樹の根」、『偶像再興/面とペルソナ 和辻哲郎感想集』講談社文芸文庫、2007年 『偶像再興』の新版(昭和12年)において和辻は、これを「幼稚な、拙ない感想文の集」とよび、「一時著者は慚愧の情なしにこれらの感想文を見る…

偶像について(1)

和辻哲郎「『偶像再興』序言」、『偶像再興/面とペルソナ 和辻哲郎感想集』講談社文芸文庫、2007年 なかなか更新できない日々が続いています。いろいろと考えた末、本ブログの基本コンセプトを維持しながら、もっと簡略に、そしてもっと本の選択の幅を広げ…